クレージーヒューストン
クレージーヒューストンは2基のタワー型マシンで、打ち上げ型が「ヒュー」(写真右の黄色い方)、落下型が「ストン」です(左の赤い方)。この両者が並立しているのは、国内では他にパレットタウン(東京)だけ。

アメリカS&S社のSpace Shot(スペースショット:打ち上げ型) と Turbo Drop(ターボドロップ:落下型)で、一般にこれらがセットまたは単品で設置されたりしています。日本国内ではスペースショットの単品がそのままの名称で設置されているものが多いです
→スペースショットの話(絶叫コラム)参照

   
乗り場です

   

打ち上げ式のヒューは、いわゆる「スペースショット」。全国に8基と比較的多い機種です。正確なデータはわかりませんがで、どの機種も、だいたいタワーの高さが58〜60m、最高到達点が50m程度といったところのようです。

スタンバイしたら、カウントダウンのアナウンスがあって(これはスペースショットに共通のようです)、これに合わせて発射(急速上昇)します。最高点では、放り投げたボールが落ちてくる時のように、上昇から下降へと転じて、自然落下し、下のほうでバウンドするような動きを3回繰り返した後、最後にゆっくりと最下点まで降下します。

一気に急上昇すると怖いような気がしますが、実際に体にかかる負荷はそれほど大きくありません。それに、高いところに居る時間はほんの一瞬なので、高所恐怖症の人でもなんとか耐えられると思います。最高点から落ちるときも、それほど強烈な落下感はありませんので、結局のところ、見た目よりは意外と「とっつきやすい」機種のように思います。初心者の人が、ヒューかストンか、どっち先に乗るか?といったら、ヒュー(打ち上げ型)のほうがトライしやすいでしょう。

    
ヒューのスタート---発射!です

ところで、 どちらも座席は「4人並び×2、2人並び×2」の編成。これはスペースショット系にだいたい共通したレイアウトのようです(富士急のレッドタワーも同じ)。私の知っている範囲では、鷲羽山ハイランドのターボドロップだけは3人×4の正方形タイプで、ちょっと変わり種と言えます。

    
このあたりで最高点付近で、ここから落下に転じます。

   
   

さて次に、落下系の「ストン」ですが、こちらはまず、静かにゆっくり上昇したあと、最高点で静止して、数秒後にそこから落下します。急に支えがなくなって、ストーンと落下する感じで、体がシートから浮くのがわかります。これはほんの一瞬、といった感じで短いですが、気持ちよいです。コースターのドロップと同じで、落下時は「両手バンザイ」でスタートするのがいいでしょう。

   
このあたりが最高点。ここでのカウントダウンはありません。

         

このストンの落下は「自由(自然)落下」ではなく、「-2Gの強制落下」 というところが売り物のようですが、実際乗り比べてみた感触では、自由落下の機種(ブルーフォール、タワーハッカー、G-max、メテオ)と乗り比べても、落下開始時のフィーリングに特に違いはないように思われます。

直に落下してそれだけで終わりというのでなく、ヒューと同様、一定の落下区間の後、バウンドする動きが3回入って終わる仕組みになっています。そういう跳ね返りの動きがあるせいか、「自由落下」はすぐに終わって早くに逆向きの力がかかりはじめてしまう(ブレーキがかかる)ように感じられます。

だから、例えば、一気に落ちるだけのブルーフォール系で高さ50mの「メテオ(ひらかたパーク)」や「G-max(東武動物公園)」と比べても、正味の自由落下時間が短いような気がします。

しずしずと上昇して行き、最高点でしばし間があり、突然ストーンとくるので、打ち上げ式よりは少し「怖い」と言えます。

でも高いところの雰囲気や眺めを楽しめるし、落下感もしっかり味わえるので、一度好きになったら、こちらのほうが「より良い」と感じるのではないでしょうか。

   

この垂直落下系「いわゆるターボドロップ」は、全国に4基(パレットタウン、富士急ハイランド、よみうりランド、鷲羽山ハイランド)しかないので、稀少な機種だと言えます。

         

そして、とにかく、同じ場所で垂直落下と打ち上げ型、両機種が楽しめるというのは、大変有り難いことです。

  
  

それと、ここでは、いつでも(たぶん)絶対に待たずに乗れます。乗客1人というのも、めずらしくないです。こういうのは、たった一人で静かに乗るのも、「オツな」ものです。

    

     

     

    

ループコースターMOMOnGA
               
ずっとループ・立ち乗りコースターと呼ばれていましたが、近年、名前だけループコースターMOMOnGA(モモンガ)という変な名前になりました。たぶん1999年の会社創立50周年記念リニューアルに際してだと思います。

見ると、走路のカラーを塗り替えたのと、モモンガの絵のついた看板を駅舎の上にくっつけただけのようです。あまりにも手抜きのリニューアルでした。これなら、名称は昔のままのほうが良かったのではないでしょうか。

  
裏側にはMOMOnGAの看板なしで昔のまま

             

元々、1979年にループコースターとしてデビューした後、1982年に同じコースに立ち乗り車両を走らせ、話題を呼びました。

プラットフォームは電車の駅のように、両側に分かれていて、「立ち乗り」、「普通(座り乗り)」、それぞれ別々のプラットフォームから乗り込みます。コースのレールは一本(単線)なのに、どうやってこの2種類の車両を運行できるのか、という仕組みについてはは、トーゴらしいアイデアで見事に解決してあって、興味深いです。(次の写真へ)

  
これは駅舎の最後部を見ているところですが、赤い土台の鉄骨とレールが一緒に横方向に平行移動して(黄色矢印)、コースのレールとつながるようになっています。(青矢印)

だから、乗り込んでスタンバイして、「発進!」というときに、普通のコースターは前進するのですが、このコースターだけは、まず真横に移動して「本線」のところにセットされて、それから初めて前方へ向かってスタートする、という流れになるわけです。

トーゴの「立ち乗り」・「座り乗り」共用コースターとしては、他に唯一、鷲羽山ハイランドの「ばっくなんじゃー/スタンディングコースター」ありますが、こういったメカはなく、一続きのコース上に常に2つの車両が乗っていて、交互に走行しています。

ルスツのスタンディングコースターは、このMOMOnGAと同一機種で、コースレイアウトやメカも同様なのですが、座り乗りはありません。ここでは、駅舎に立ち乗り車両が2台並んでいるのですが、通常片側だけ使って運行しているようです(利用者が少ないので)。

      
この立ち乗り用シート(固定具)なども、歴史の重みを十分に感じさせるものです。

自転車のサドルのようなものにまたがり、下から延びている「バー」でお腹を押さえ、両腕はランドセルでも背負うように輪状の部分に腕を通して体を固定します。身長によって高さを調節しなければならないので、下のほうにスプリングがついていて、延びたり縮んだりするような仕組みになっています。

      
                

コースレイアウトは、巻き上げに続いて、右旋回しながらファーストドロップに入り、ドロップ後に垂直ループ。垂直ループを抜けたら左回りの水平ループ1回転→大きく左回りして駅舎に戻ります。

   
     
 巻き上げ〜ファーストドロップ〜ループ

 

   
   
ファーストドロップ---こちらは「座り乗り」の方です

  
     
ファーストドロップもマイルドですし、このループもGのかかりは少なく、「初心者にもやさしい」といったイメージです。そんな具合だから、その後の水平ループも特に印象に残るようなものではなく、残念ながら「ループを回ったら、ハイ、終了!」といった感じです。

   
垂直ループの後にくる水平ループ(1周)の部分

   
立ち乗りというのは、その様子を外から眺めていると、一見怖そうに見えますが、実際に乗ってみると、それほど怖いものではない、というか逆に怖さは少ないような気がします。立ち乗りの体勢だと、縦Gなどは、かかった時、自分の脚で衝撃を吸収してしまうので、インパクトが少ないように感じてしまうのかもしれません。

現代のコースターの水準から見れば、物足りない点も多いですが、国産初の垂直ループコースター、日本初の立ち乗りコースターという歴史的価値もあるので、一応、おすすめ機種ということができるでしょう。

それにしても、ここでも、車両を横に平行移動させてコースにセットするメカや、「立ち乗り」を生み出したトーゴの独創性には、感服させられてしまいますね。

      

         

     

             

SLコースター
これは文字通り、先頭車両が煙突の付いたSL型になっているコースターです。形だけでなく、途中で「ポーッ!」という汽笛の音が2回ほど発せられるところがSLっぽい。

      
   
駅舎です

写真の右方向へスタートします。

   
  
ここが見どころ!

地形をうまく利用していて、ご覧のように「駅舎を出ると、巻き上げなしにいきなりすぐファーストドロップ」というのが最大の特徴です。これはユニークで面白いです。こんなレイアウトは他に類を見ないような気がします。

   
          
前半部分のレイアウト

ドロップの後は、このように池の上を巡りますが、池に入る前に、かなりの急ブレーキをかけて減速してしまいます。レイアウト上しかたないことなのでしょうが、せっかく最初のドロップでインパクトがあったのに、すぐブレーキングで、ちょっと拍子抜けしてしまいます。

    
  
池の中の周回コースが終わると、一旦停止後、斜面に沿って巻き上げて駅舎のあるエリアに上がってきます。ここで駅舎の上をループ状に左旋回した後、駅舎に滑り込んでフィニッシュです。最初に巻き上げなしでドロップし、最後に巻き上げで登って終わるという、風変わりなレイアウトです。最後の巻き上げの後は、比較的ゆっくりした動きです。

   
   
それでは最初から順を追って見てみましょう
まずは、ファーストドロップ

ふつうのコースターは「スタートするとまず登る」ものですが、このように駅舎を出たとたんにそのままドロップとなります。

    
   
この 池の上を走る部分は、その直前にブレーキがかかるとはいうものの、小さなアップダウンを繰り返しもあって、それなりに気持ちいいです。(向こうに見えるのはバンデットの「大きな谷のドロップ」の部分です)

  
           
こんなところも、なかなか楽しい。

  
  
このあたりの「水面ギリギリ度」は、かなりのもの。

  
  
池の部分が終わると、ここで一時停止し、「ポォーッ」と汽笛を鳴らしてから、ゆっくりと巻き上げます。

     

左を見ると・・・

巻き上げの前に一時停止する所は水際なので、その際の微妙な「間」の時に、どうしても目の前の「緑色でゴミの浮かんだ池の水」が目に入ってしまいます。

  
  
「駅舎に戻るための巻き上げ」みたいなものです

   
    
巻き上げたら、駅舎の上方を一回りしてからフィニッシュとなります

    
まとめ

地形を利用した、「駅舎を出たら、巻き上げなしにすぐドロップ」というレイアウトは、おそらく他にはないもので、たいへん面白いです。

池の上を走る中間部は「池の上」を実感できるし、ちょっとしたアップダウンのほか、水面にも近いのでスピード感もあって、なかなか爽快です。

池が終わってしまうと、一時停止して、巻き上げて、最後は惰性でずるずるっと駅舎になだれ込む感じで、完全に「尻すぼみ型」のレイアウトとなっています。まあ、「珍品」と考えて、これはこれで楽しいと受け止めましょう。

この水がきれいだったらなー、と思います。

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