としまえん
     
    

   
所在地:東京都練馬区向山
交通アクセス:西武池袋線または地下鉄大江戸線にて「豊島園駅」下車すぐ

豊島園は1926年(大正15年)の開業ですから、かれこれ80年近い長い歴史を持った関東地区でも指折りの老舗遊園地で、現存するものとしては、「浅草はなやしき」に次ぐものです。

練馬にあるのに何故、豊島園? 練馬区の東側に豊島区があって、その練馬区のほうに「としまえん」が所在しています。

そもそもこの「としまえん」の敷地の一部は、今から500年ほど前に豊嶋氏によって築城された練馬城の跡地だったという歴史ある土地であり、そのあたりが遊園地の名前の由来だといわれているようです。何だかややこしいですね。

大正15年に、藤田好三郎という人が園芸的な施設と体育的な施設を併せ持った遊園地を東京市民のために作って開園したのが始まりです。開園翌年の1927年には日本最初の常設ウオーターシュートが設置されたことはコラムのところでも述べました。そんなわけで、ほんとうに初期の頃から、スリルライドを追求するという基本姿勢があったようで、その精神は現在まで脈々と受け継がれているかに見えます。

園の敷地は、園内を流れる石神井川によって南北に2分されており、北側は遊園地、南側はプールのエリアとなっています。プールのエリアがオープンしたのも何と1927年というから、これも大変に歴史のある施設だと言えます。


    
西武池袋線 豊島園駅

西武池袋線の練馬駅から枝分かれする「豊島線」の終点がこの豊島園駅。ただし豊島線といっても、練馬駅の次がもう終点の豊島園駅なので、これはもう豊島園のための専用駅といってもいいですね。

しかも驚くことにこの路線と駅は、豊島園開園の翌年(1927年)にはもう開通、開業していたというから驚きです。

最近では地下鉄大江戸線の豊島園駅もできたので、ほんとうに交通至便という言葉がぴったりの遊園地だといえます。

駅の改札を出ると、すぐ目の前にエントランスが見えます。さすが「豊島園駅」だなあと実感します。それと、東京近郊の「駅前」なのに随分緑が多いことに驚かされます。

    
ENTRANCE

周囲の緑とマッチした控えめなエントランス。これ自体、そう古いものではないのでしょうが、それでも何となく「伝統」みたいなものを感じてしまうのは私だけでしょうか?

    
入園しても緑は続きます。

古き良き「武蔵野」の面影を残すかのような園内の自然です。池袋からそう遠くないのに、何だか別世界に入り込んでしまったような気分にさせられます。

    
   
トップスピンハード

以前にはこの右隣に「トップスピン スーパーハード」があって、合わせて「トップスピン W」と呼ばれていました。しかし2003年6月オープンした温浴施設「庭の湯」の専用駐車場を作るためにスーパーハードのほうは撤去されてしまいました。以前の「るるぶ」などに載っている写真を見ると、こんなのが2基ダブルで並んでいる姿はまさに壮観でした。

さらにこの近くには「フリッパー」と「ブレイクダンス」がありましたが、これらも撤去されて、ブレイクダンスだけは今のフライングパイレーツの隣(たぶんそこにメガダンスがあった)に移動しました。

ちなみに、シャトルループの近くの西側の端のエリアも近年臨時駐車場を作ったために消滅し、そこにあった「インディアン」、「スーパーテレコンバット」、「ティップトップ」、以上3つの回転系遊具もなくなってしまったようです。

    

スカイトレイン

小さなトレインも、こんな「高架線」で走っているのは、ある意味、いかにも東京らしいですね。後にも出てきますが、としまえんでは、アトラクションを高い土台の上に作る、という傾向があって、これがこの遊園地の特徴にもなっている気がします。

カルーセルエルドラド

エルドラド(El Dorado)とは、南アメリカ北部、アマゾン河畔にあると(当時ヨーロッパで)想像された「黄金の国」のこと。20世紀初頭に頭角を現してきたドイツの遊戯機械職人ヒューゴ・ハッセが、世界一のカルーセルを作ろうと意図して、技術、芸術の粋を尽くし、1907年に完成させたものです。

このエルドラドは誕生してからしばらくは、ミュンヘンのオクトーバーフェスタはじめ、各地を回り、たいそうハッセの名声を高めたということですが、4年後の1911年にはアメリカに買い取られ、その後はコニーアイランドにあって長い間多くの人たちに愛されました。

元々は、本体の周囲に、これまた見事な芸術作品といえる「囲い」というものがあったらしいですが、アメリカに渡った際に離ればなれになり、その後、「囲い」のほうは処分されてしまって、本体のみが残ったという形なのだそうです。

ドイツで生まれ、大西洋を渡ってアメリカに行き、アメリカで60年の歳月を過ごした後、1971年に今度は太平洋を渡ってこの「としまえん」にやってきました。以来すでに30年以上もこの地で回り続けているわけです。

    
美術工芸には20世紀初頭に全盛であった、アール・ヌーボーという美術様式が取り入れられているとのことです。

詳しいことはよくわかりませんが、とにかく何かこうずっしりと重い「歴史の重み」みたいなものを感じるのは確かです。

   
   
    
フリュームライド

ごくふつうの「急流すべり」です。ただし、本物の池の中に作られていて、右端に見えるような滝もあり、乗り場に至る通路、階段などが「木製」だったりすることから、独特のいい雰囲気を醸し出しています。またこの背後の木々の緑の向こうには、遊園地エリアとプールエリアを境する石神井川が流れていて、そこを2度渡るコースレイアウトになっているので変化に富んだ感じがします。このため、園内ではサイクロンに次ぐ人気アトラクションとなっているようです。

   
フライングパイレーツ

文句なしに、としまえんの「顔」といえる存在です。実際、園の中央部に位置し、堂々たる威容を誇っています。すごい存在感です。写真では1隻しか見えませんが、このページのトップの写真にもあるように、「2隻立て」です。

   
1列10人×12列で120人乗り。これが初めて登場したときのキャッチコピーは「240人様ご昇天」だったというから、何だか富士急のノリに近いですね。

長島スパーランドのジャンボバイキング(160人乗り)の4分の3のキャパなわけですけれど、乗った感じもちょうどそれくらいの違いを感じます。

高いところに行くと、見えるのはまわりの住宅街みたいな景色なので、雰囲気は今ひとつ。

     
   
イーグル

全体が回転しながら、同時に4つある各グループがそれぞれ回転します。神戸ポートピアランドではコンドルでしたね。

トップでほんのわずかの間だけ回転スピードが遅くなりますが、全体としては「終始しっかり回っている」という感じなので、一般の回転系遊具と同じ感覚です。としまえんには観覧車もないので、高いところではもっとスローダウンの時間を長くとって、のんびり高所からの景色を楽しめるようにしてほしいです。

   
何だかちょっと「太め」で、朴訥(ぼくとつ)とした表情をしたイーグル君です

座席はこんなです!

2人乗りで、この「股ぐら」に嵌(はま)るようにしてもう1人が座るわけですから、カップルには「たまらん」でしょう。だから1人ではちょっと寂しかったです。

          
としまえんで目につくもの

上のフライングパイレーツの写真などでも気づかれたかもしれませんが、としまえんでは、「ショップ、レストラン、室内アトラクションなどを容れた建物」を土台として、その上に遊具を設置してあるパターンがとても多いです。

   
これは左がマジック、右はイーグルの乗り場なのですが、こうやって階段を上って搭乗口に至るわけです。

そして例えば、これはマジックの部分ですが、1階部分はジャングルハウスという子供用の室内遊技場となっていて、いわゆる「屋上遊園地」みたいな形で乗り物を設置しちゃうのが、「としまえん流」のようです。

   
   
これは一見、上↑の写真と同じように見えますが、そうではなくて、上のイーグル、マジックのすぐ向かいにある「ウエーブスインガー」と「スイングアラウンド」の搭乗口なのです。

そしてこちらでは、たとえばこのように、カレー屋さんの上にスイングアラウンドが乗っかっているというわけです。

    
   
ブレイクダンス

雰囲気がとても賑やかな回転系

トロイカ

これは、かつて長島スパーランドにあった機種です

以上のブレイクダンスとトロイカも、レストラン「カリーノ」と「キュート」の屋上に設置されているし、その隣につながっているアーケードゲームの建物の上にはフライングパイレーツが載っている、そんな感じです。

以上見てきたように、結局、フライングパイレーツと6つの回転系アトラクションが屋上型となっていることがわかります。これは他の遊園地ではまず見られない光景ですね。

としまえんは、総敷地面積33万平方メートルですが、そのうち半分あまりがプールのエリアなので、たぶん遊園地として20万平方メートルに満たない面積と思われ、これはメジャークラスの遊園地としてはかなり手狭なことになります。

ですからそこにたくさんの遊具を置くには、こういった省スペース設計が必要だったのでしょう。ただしこれによって、これらの遊具には「高さ」が加わることになり、乗るにせよ、下から眺めるにせよ、「楽しみ」という点ではプラス要素になっていると思います。

   
パイレーツ

こちらはフライングパイレーツじゃなくて、小さい方の海賊船。シャトルループと同じ1980年の設置だそうで、フライングパイレーツより4年先輩です。

   
   
模型列車

何だか名前がちょっと変ですが、オフィシャルに付けられている英語名では「MINIATURE TRAIN」で、これを何となく直訳しちゃったということなのかな?。

アメリカの開拓時代、西部の原野を走っていた機関車「鉄の馬」をそのまま再現」とのこと。林の中をコトコト走りぬけて、なかなかいい感じ。

  
   
レディーバード

「8匹のてんとう虫のお散歩」とのこと。カラフルでにぎやかです。ライド自体が回転して、徐々に移動します。

LADY BIRDとは英語で「てんとう虫」(イギリス英語)。

ちなみにアメリカ英語ではLADY BUGと言うようです。「バグ」じゃイメージ悪いのでこっちにしたのでしょう。

      
   
カーメリーゴーランド

「ベンツ・ポルシェ・フェラリーなどの世界の名車からパワーシャベル・消防車まで、35種類の車を揃えたオリジナルメリーゴーランド」とのこと。確かにこれは珍しい!

あまりにクルマの種類が多くて、どれに乗ったらいいか迷ってしまう子も多く、その結果、なかなかスタートできないという欠点があるようです。

メリーゴーランドのように全体が回転しますが、各乗り物の上下動はありません。その代わりに床全体が少し傾いて変化をつけています。

   
  
ユーロ2006

モーターボート、水陸両用車、探検車、ヘリコプターなど夢や冒険の乗り物が揃っているとのこと。これもいろいろ選べるので楽しいでしょう。

   
オートスクーター

「レースカーに乗って滑って、接触、追突」とのことですが、これに馴染んでから運転免許を取ると危ないかも。

これもなかなか歴史の古いアトラクションで、私は昔(1960年頃)、後楽園遊園地で見たのが印象に残っています。

   
   
こどもの森

ちょっとしたアスレチック遊具のエリアも設けてあります。このあたりもなかなか「ツボを押えた」といえるアトラクション配置です。

   
   
ループ2000

おなじみの「サーキット2000」です。元来イルミネーションが点滅するものなので、まわりが暗くなってくると、より一層魅力的ですね。

ところで内部には「FREE WAY」との表示もありますが、「ループ2000 」です---札幌円山子供の国キッドランドではフリーウエイという名称だったのですが、どうなっているのだろう?なかなか難しいです。

まとめ

「さりげなく」、しかし、よ〜く見ていると「ずっしりと」、歴史の重みを感じさせられる遊園地です。この長い歴史を刻んできた武蔵野の自然の中にみごとに融合しているかに見える(古き良き)各絶叫マシン群。機械的な人工物だけでは決して得られないような本質的な楽しさ、喜び、といったものを実感させてくれます。

おそらく大正15年に開園した時の園芸的公園という「心」がずっと根底に流れているのでしょう。現在ではそれほど「作った」という感じはしないのですが、それでも「公園」としての「居心地の良さ」を「そこはかとなく」感じさせられるアミューズメントパークだと思います。

サイクロン、コークスクリュー、シャトルループと、今となっては、他の遊園地ではまったく古めかしい、と思われるであろう各マシンが、どこよりも輝いて存在感を示していることに感銘を受けました。

他に良いところとしては、小さな子供も存分に遊べるようなアトラクション構成になっていること。やはり長年、東京の中心的遊園地の一つとして歳月を重ねてきただけのことはあります。

ただし、ちょっと回転系に偏った感じがしないでもない。これでも最近何年かで6種も回転系を撤去しているということなので、以前は「ぐるぐる回り」遊園地という感じだったのでは?と思います。(その消えた回転系とは---メガダンス、エンタープライズ、スーパーテレコンバット、ディップトップ、インディアン、フリッパー)

それと気になったのは、スタッフの「おじさん」たちが、「役所の役人」みたいな雰囲気が目立ったこと。他の遊園地と比べると大いに違和感を感じました。

近年、温浴施設やトイザラスの併設により、さらに総合的なアミューズメントパークとして集客を図ろうとしているようですが、そのあおりで、遊園地スペースの縮小やアトラクションの削減が行われているようなので、今後の動向が心配です。ぜひ遊園地としての伝統をしっかり守り続けていってもらいたいと思います。

(尚、ブラワーエンジンはちょうど訪問した日には営業中止であったため、その姿を見ることすらできませんでした。そのため取り上げることができませんでした。)

      

   シャトルループへ
  

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