パルケエスパーニャ

    

所在地:三重県磯部町

パルケエスパーニャは、いわゆる「伊勢志摩」といわれるエリアにあり、車、電車いずれでも、大阪から約3時間、名古屋からでも2時間半程度、あるいはそれ以上かかります。交通アクセスを考えると、都会からはどこから行くにしても不便な場所です。どうしてそんな場所に、と思われるかもしれませんが、親会社の近鉄が自身の持つネットワークの中で考えたとき、テーマーパークの立地としては、「ここしかない」といった最適の地であったのです。

もともと観光地としての伊勢志摩というのは、中央を近鉄線が縦貫し、あの有名な志摩観光ホテルをはじめとしたいくつも宿泊施設やゴルフ場などを近鉄グループが展開する、まさに「お膝元」とも言える地域なのです。そういった事業の一環として、この一大観光地域の魅力をさらに強化するために作られた複合リゾート施設が「志摩スペイン村」というわけです。

ただし、このリゾート構想というのは、近鉄単独で生み出されたものではなく、かつてバブル期に制定され我が国に「リゾート開発ブーム」なるものを巻き起こした「総合保養地整備法(いわゆるリゾート法)」に便乗した形で進められたものです。リゾート法の成立は1987年で、当時、各自治体はこのリゾート法の適用を受けようと、こぞってリゾート計画を打ち上げたものでしたが、スペイン村を含むこの地域の開発計画「三重サンベルトゾーン構想」は、宮崎県(シーガイアなどを含む)および福島県と共に栄えある?第一号の適用を受けたリゾート計画となりました。ただしこのリゾート法によって生まれた各地のリゾートは現在までにその多くが破綻、ないしは破綻寸前の状態となっているのは周知の事であり、志摩スペイン村も今後が心配されています。尚、開業は1994年ですから、2004年で満10周年ということになりました。

ちなみに、志摩スペイン村という名称は、(1)テーマパーク「パルケエスパーニャ」(2)志摩スペイン村ホテル(3)志摩スペイン村温泉「ひまわりの湯」、以上3つの施設を包括した複合リゾート施設の総称とのことです(オフィシャルサイトより)。

ところで、本場スペインにもスペイン村 Poble Espanyolというのがあります。これは、1929年に開催されたバルセロナ万博の際に作られたテーマパークで、スペイン各地の伝統的な建物、路地、広場などが実物大で再現されていたり、各種伝統工芸の実演や製品の販売などが行われる施設のようで、それなりに人気のある施設のようです。


   
エントランス

セビーリャにある「スペイン広場」をイメージして作られたというエントランスです。2つの噴水の間には「ドンキホーテとサンチョパンサ像」があります。本場スペインではマドリッドにも同名の「スペイン広場」があって、実はそちらに有名な「ドンキホーテとサンチョパンサ像」があります。

だから実際とはちょっと違った組み合わせということになりますが、そういったところは、テーマパークらしく「いいとこ取り」のようですね。

  
  
ドンキホーテとサンチョパンサ像

ドンキホーテは、1605年に刊行されたスペインを代表する小説家セルバンテスの長編小説。

騎士道物語に傾倒して自らを伝説の騎士と思い込んだ主人公が、ドン・キホーテと名乗り、サンチョパンサを従えて遍歴の旅にでるという物語。

この物語は、スペインのみならず世界中に人気が広がり、聖書に次ぐ出版部数を誇る本としてギネスブックにも記録されているということです。

そして彼ドンキホーテは、スペインでは「伝説の英雄」みたいな存在で、上にも書いたとおり、マドリッドのスペイン広場にドンキホーテとサンチョパンサの像が置かれています。

ここに設置されているのは、そのレプリカともいえる本物そっくりの像です。本場のものと写真で比べてみると、大きさこそ違いますが、かなりよく似ています。

     
     
ドンキー&サンチョのグリーティングカルーセル

さて、エントランスを入るとまず登場するのがこのモニュメント。スペインの英雄ドンキホーテがここパルケエスパーニャのメインキャラクターとなっています(向こう側にサンチョがいます)。キャラクターとしては他にチョッキー、ダルネシアという脇役も。

    
   
エスパーニャ通り

上のグリーティングカルーセルを通り過ぎると、アーケード商店街のようなこのエスパーニャ通りとなります。ここはバルセロナで「目抜き通り」ともいえる「ランブラス通り」をイメージして作られたというストリートで、さまざまなショップや軽食の店が並んでいます。こういったところはテーマパークの定番的な作りですね。

  
  
シベレス広場

エスパーニャ通りを突き抜けると、シベレス広場となります。シベレスとはギリシャ神話に登場する、大地に恵みをもたらす女神のことで、このシベレス像(噴水)を中心とした広場です。スペインではマドリッドにあります。

噴水の向こうにある時計台付きの建物は、さらに奥に向かってぐるりと四角形につながっていて「中庭」を形成しており、その中庭がマヨール広場となっています。

  
    
別の方向から見たシベレス広場。右がエスパーニャ通りやエントランスの方角で、正面に見えるのが闘牛コースター「マタドール」の入っている建物です。中央のシベレスの噴水の他にも花壇や噴水が配置され、広々として気持ちの良いスペースとなっています。

   
  
シベレス像

2頭のライオンに引かれた車(古代の戦車)に乗っています。スペインのガイドブックなどを見て比較すると、かなり本物に似ていることがわかります。

  
   
   
マヨール広場

マヨール広場というのは、これもスペインではマドリードにあって、フェリペ3世が1619年に完成させた広場で、4階建ての建物に四方を囲まれています。それを模したものですが、本物より規模も小さいので、建物も2階建てです。建物内にはショップとレストランが入っています。(写真下、建物に囲まれた内部))

マヨール広場はマドリッドにある広場ですが、最初に述べた「バルセロナにあるテーマパーク、スペイン村」の中にも、このマヨール広場が再現されているということです。だから、これは地元スペインでもそれだけの名所と見なされている「有名な広場」ということになりますね。

   
  
シベレス広場から見た、マヨール広場の一部。マヨール広場の中央にはフェリペ3世の騎馬像(矢印)が建っており、これも本家に倣ったものです(このあたりはまともな写真がなくて、すみません!)。マヨール広場のまわりには、エスパーニャ通りなどとは違って、ちょっと高級そうなショップやレストランが集まっています。

シベレス像とフェリペ3世像が隣り合っているというのは、日本に置き換えれば「上野の西郷さん」と「忠犬ハチ公」像が並んでいるようなものかな?。

  
   
          リヤドロのショップ

マヨール広場を囲む建物にあるショップのひとつ。

リヤドロというのは、スペインを代表する、世界的に有名な陶磁器メーカーです。

古くから陶器の町として知られたバレンシアの郊外に、「リヤドロ三兄弟」という人たちが開いた工芸工房が始まりで、主に陶磁器製の人形を作っています。

   
デパートなどにもショップがありますが、ここはかなり品数が豊富で、眺めているだけでもたっぷり楽しめます。
   
ショップなんですが、ほとんど博物館、美術館といった趣です。一見の価値あり。
   
こういったパステルカラーで「やさし〜い感じ」の人物像が特徴です。どれも、しぐさ、動作などがすごくリアルに表現されていて、独特の雰囲気をかもし出しており、大変魅力的な作品です。

すべて手作りという高級品で、このくらい→で、たぶん10万円前後、小物で数万円。ちょと大きいと数十万円もします。特に小さな花をあしらったものは値段が高いようで、花の量に比例して値段が跳ね上がっていくような気がします。

現代スペインを代表する一流の工芸品で、最近、日本でもかなり人気が高まっているようです。ちっちゃいのでいいから、自分もそのうち一つ欲しいなあ。

   

ここは、「ショップ」ではありますが、本物の芸術品が多数展示されているという点で、パルケエスパーニャ屈指の見どころかもしれません。オススメです。

   
   

ハビエル城博物館

   

スペインの歴史、文化、風俗などを幅広く紹介する博物館です。

ハビエルというのは、日本に初めてキリスト教を伝えた、あの有名なフランシスコ・ザビエルのこと。この建物は、ハビエルがフランス国境に近いスペイン北部のナバラ王国の貴族の子として生まれ育ったという古城を模して造られたものです。

  
このような展示物(他にビデオや、造形物、物品展示などもあり)で、スペインの歴史を年代毎に解説しています。ひたすら地味で、まじめ、堅い企画といえますが、なかなか興味深く、勉強になります。

スペインという国、そしてその文化の成り立ちに、いかに多くの周辺国家・民族の影響というものが複雑に関与しているかがわかり、そういった事を知ると、これらヨーロッパの国々というのが日本とは大きく異なった背景をもって成り立っているということが実感されます。

   
    

さて、ハビエル城博物館の展示物の「超目玉」と言えば・・・

アルタミラ洞窟の壁画の実物大レプリカ
(写真がなくてすみません)

「アルタミラ洞窟の壁画」とは?

アルタミラ洞窟の壁画は、歴史の教科書などにもよく載っている大変有名な古代壁画で、今から1400年ほど前、後期旧石器時代のものとされています。スペイン北部のカンタブリア地方にあります。

1879年に考古学者のサウトゥオラという人が最初に発見しましたが、実際にはその時たまたま調査に連れてきていた5才の娘が、高さ1mほ余りという狭い場所でその天井にある野牛などの動物画に気づいて父親に知らせたというエピソードが記されています。サウトゥオラはこれを旧石器時代のものと考え発表しましたが、当時、旧石器時代はいわゆる「原始人」みたいな文化も何もないような人間(の祖先)が暮らしていたと考えられており、アルタミラの壁画のように彩色を伴いすぐれた描写技法で描かれた壁画がその時代のものだということは、学会などでもまったく承認されず、サウトゥオラは失意のまま生涯を終えたということです。(認められたのは20年以上経ってからのことでした)

1985年にユネスコの世界遺産に登録され、世界中から見学者が殺到したため、保護を目的として見学者数が「年間8500人程度」といった具合に制限されました。これにより、予約申し込みをしても実際に見学できるのが1〜2年後というような状態が続いていたそうです。そして現在は暫定的とはいえ立ち入り禁止になっており見学はできないのだそうです。そんなわけで、このアルタミラの壁画というのは、現在、実物を見ることが非常に困難な文化遺産であるというわけです。

そんなアルタミラ洞窟の壁画の実物大レプリカが、ここハビエル城博物館にあります!。こういったレプリカは、何と世界にたった3つしかなく、他の2ヶ所は、本家、アルタミラ洞窟のそばにあるアルタミラ博物館と、首都マドリッドの国立考古学博物館、ということですから、これは大変貴重なものだということがわかりますね。だから必見の「見どころ」といえます。

   
        
ハビエル城の居間

ハビエル城内にある16世紀当時の居間を、家具・調度とともに再現したもの。いかにも「往事が偲ばれる」といった感じで、重々しい雰囲気です。

  
バレンシアの台所

そもそも「バレンシアの台所」というのは、スペイン国立装飾博物館の中でも重要な展示室の一つで、18世紀後半の貴族の屋敷から部分品を運び込み、元の配置通りに再現したものだそうです。

そして、このハビエル城博物館にある「バレンシアの台所」というのは、そのスペインの博物館の展示室を再現したもの、とのことです。

  
  
ヒガンテス

1階の、吹き抜けのように天井が高いフロアに、全部で4体のこのような人形みたいなのが並んでいます。知らないで見ると、「何だ?」といった感じですが・・・

よく見ると、矢印のところに穴が開いています。高さは4m近くありそうで、大きなものです。

  
↓↓こういうものだそうです→→

お祭りなどに登場するのですね

  
  
スペインの民族衣装や伝統工芸品を紹介するコーナーもあります

   
   
   
ローマの遺跡

ハビエル城博物館の横に見えるこの眺め、初めて見ると「何だ?」と思いますが、「ローマの遺跡」というモニュメントです。ところで、この土台となっているい石造りの巨大な建造物は何か?というのがそもそも疑問として湧いてきますが、実はこれは「アドベンチャーラグーン(の屋内部分)」が入っている「建物」なのです。この「屋上」が、そのままではあまりに殺風景なので、ここに飾りとして「ローマの遺跡」を並べたということのようです。

スペインなのに何故ローマの遺跡なのか?といいますと・・・

スペインも紀元前1世紀から紀元5世紀まで、ローマ帝国の支配をうけていた時期があり、この時代、ローマ人達は、今のスペイン国内にも他のローマ帝国各地と同じようなローマ風の橋や水道橋、さらには都市やモニュメントを建造したということです。

そういったローマ帝国時代のローマの遺跡が多数残っていることで知られているのがメリダという町で、ここはスペインの中の「小ローマ」などと呼ばれていて、世界遺産に登録されているほど有名な史跡だそうです。そんな具合で、スペインとローマの遺跡というのはは、なかなか深い縁があるというわけです。

  
  
太陽の洞窟

ハビエル城博物館から、コロンブス広場(アドベンチャーラグーンのあるところ)へ抜ける通路は、このように高低差があるため、階段とエスカレーターが設置してあります。そこに屋根を付けてトンネル状にして、このようにイルミネーションで飾って「太陽の洞窟」と命名しています。

ここも一応、園内では「モニュメント」として位置づけられているのですが、イルミネーションといってもこんな程度なので、「21世紀のテーマパーク」ということを考えると、ちょっと「お寒い」というか「貧相な」感じです。「そろそろもうちょっと何とかしたら・・・」と思います。

   
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