闘牛コースター
マタドール

   

シベレス広場の奥に位置する屋内型コースター。以前には幻のイベリア超特急という名前のアトラクション(コースター)だったのが、近年しばらくの間、「走路に不具合(亀裂)箇所が見つかり(オフィシャルサイトより)」ということで運転休止となっていました。皮肉なことに、名称どおりの「」となってしまったというわけです。そしてイベリア超特急は復旧することなく営業終了となり、これに替わってそ、2004年春よりリニューアルした形でこの「闘牛コースター」が登場しました。

ニューアトラクションといっても、以下の様に、とりあえず外観はまったく変更なしです。

  
正面から見ると、スペインの建築物風でなかなか立派なのですが、違う角度から見ると、作り込んであるのは前面だけで、あとはご覧のようにまさに「箱、あるいは倉庫」といった感じです。映画のセットか何かみたいでちょっと興ざめ。(ただしこういった眺めは、唯一の「高み」であるフライングドンキホーテに乗らないと見えないので、実際には特に気になりませんが)

     
     

エントランス

この小さな赤い看板を取り付けただけで、本当に必要最小限しか「いじっていない」、お手軽リニューアルです。

入り口を入って、ちょっと進むと、すぐにプラットフォームがあります。

  
  
そして

これが

闘牛コースターのライドだ!

・・・と言っても・・・

  

実は、これ

幻のイベリア超特急と

まったく同じなんで〜す!

ざんね〜〜ん!!

   

  
  
ハーネスにはこんなものが・・・

すごいがっちりしたU字型ハーネスで、さらにこんなもの(青矢印:衝撃緩和用パッド?)まで付いていました。そして、乗り込もうとすると、スタッフの人から「眼鏡は飛んでいく恐れがあるからはずしたほうがいいですよ」と注意されました。一体、中でどんなすごい事が起こるのだろうか?、なんてちょっと期待感が高まるような「ものものしい雰囲気」です。

  
  
壁にはこのようなマタドールのカッコいいパネルが飾られていて、なかなかいい雰囲気です。

さあ、あなたもマタドールになって、出発!・・・か??

  

  

巻き上げは・・・

スタートすると、すぐ左折して、真っ暗な部分に入り、巻き上げます。屋内物にしては「コースターらしい」まとまった高さの巻き上げです。「おっ、意外と高いな・・・」、といった印象。

   

スタートすると・・・

最高点に至ったら、一応、ファーストドロップ風にスタートします。最初は落差を利用してそれなりに加速してスピード感もあり、真っ暗な中で先の見えない急カーブにアップダウンを交えて、なかなか激しい動きを見せてくれます。件(くだん)の「耳当てパッド」付近に顔がガンガン当たって、確かに眼鏡は外した方がよいのは理解できました。かなり痛いです。

    

中の様子は・・・

基本的には、ほとんど「真っ暗」です。そして、その闇の中、所々に闘牛で使われる赤い布(ムレータとよばれる)がボーっと浮かび上がり、これに向かっては通り過ぎ・・・といった感じで走行します・・・ちょうど、「ライド型のおばけ屋敷」を想像してもらえるといいです。

後半に入ると、一度少し明るい場所(といっても、「薄暗い」といった程度)に出ます。ここは闘牛場をかたどったった空間で、小さな部屋のようになっていて、周囲に観客席の絵が描かれています。ここでしばし完全に停車して、歓声やトランペットの音が流れ、「さあいよいよクライマックス」といった感じで雰囲気が盛り上がってきます。(この後、最後に、一体どんなことが待っているのかなー、なんて期待感も)

そして、おもむろにリスタート。再び暗闇に突入して・・・・さあ、何が起こるか?・・・と思ったら、別に何も代わりばえしなくて、また以前と同じように真っ暗闇の中に赤い布がヒラヒラ、そして「剣(マタドールがとどめを刺すのに使う)」がぼんやり浮かび上がったりして・・・ただそれだけです。特に何も起こりません。このあたりはもうスピードもなく、コースターというよりは、いわゆる「普通のダークライドアトラクション」といった趣。

何だこりゃー?と、首をひねっていると、再度少し明るい空間に出て、よく見るとプラットフォームがあって・・・。あれ、出発点に戻ってきたかな?と一瞬思うも、どう見ても出発点とは様子もちがう。だったら、ここは一体何だ?、と混乱していると、徐行しながらまた進んで、ちょっと曲がると、おお、出発点に戻ったー、やっぱりこれで終わりかー、というふうにフィニッシュします。最後の意味不明なプラットフォームのある空間は、以前の「イベリア超特急」の「降車用プラットフォーム」なのです。(イベリア超特急では、乗車、降車が離れた別プラットフォームだった)。その「かつての降車用プラットフォーム」がそのまま残っていて、ここを徐行しつつ通過するするので、「何だ〜これ?」みたいになるわけです。

   


    

まとめ

最初の部分だけはスピード感もあり、真っ暗な中で激しい動きをみせてくれるので、なかなか楽しいです(耳、顔、頭などが痛いけど)。

しかしすぐにスピードもなくなって、しかも真っ暗な中で目に入るものといえば、赤い布や剣が時々(ボーっと力なく)浮かび上がって見えるだけなので、どんどんテンションが下がってしまいます。

一度闘牛場を表す部屋のようなところで歓声などで盛り上げた後は本来は最高潮に達したい部分のはずですが、結局、何も起こらないで、ずるずるとフィニッシュに向かってしまう、しかもそこで意味のない「昔の降車場」が出てきたりして、完全に白けてしまいます。

ライドを含むコースター本体をそのまま変更なく存続させ、コースまわり(屋内型コースターだったら本来これが一番重要でしょう)を新しく作り込むことなく、ただ真っ暗にしてしまって、その中で、ちらっ、ちらっと布や剣だけを見せる程度の演出でお茶を濁している、そんな「手抜きもはなはだしい」リニューアルです。「光の宮殿」とまったく同じパターンですね。

   

しかし

一番の問題点は

   

闘牛コースター マタドール と言いながら

   

ゲストが牛になって、どーするんじゃ!

ということ

    

「闘牛コースター マタドール」といえば、まず思い浮かぶのは、闘牛士のカッコ良さ、突進してくる牛をかわすスリル、といったイメージではないでしょうか。でも、この闘牛コースターは違います。

何しろ、「闘牛」と言ったって、これは乗客自身が牛の立場なんだから!・・・「大観衆の前でいたぶられて最後に殺される哀れな牛、さあ、あなたもこの暗闇の中でそんな牛の気分を味わってみてください!」・・・このような設定では楽しいアトラクションになるはずがありません。しかも、リアルにストーリーを再現するとしたら、最後はマタドールにとどめを刺されてしまうのですから、そんな演出にするわけにもいかず、だから結局、何事もなく終わらせてしまうしかない、ということなのでしょう。

昔のイベリア超特急のコースやライドをそっくりそのまま利用すればお金もかからなくて済む、そして、それだったらライドが元々牛型だったから、「闘牛コースター」に仕立てればいい、なんていう安易な発想で改修してしまったので、こんな情ない変なアトラクションになってしまったのでしょう。リニューアル企画のスタートで「ボタンの掛け違え」を冒してしまったのが致命的でした。

どうしても「闘牛コースターマタドール」にするのだったら、やっぱり「乗客が(ヒーローの)マタドール」という設定にしなければ!・・・自分に向かって突進してくる猛牛をひらりとかわすスリル、そういったものを表現するコースターなんて素敵だと思うんだけれど。

ちなみに、このコースターを始め、パルケエスパーニャのアトラクションの主なものは「株式会社ドリームスタジオ」というところが手がけているようです。今回のこの「イベリア超特急闘牛コースター」や「ドンキーズシェリー光の宮殿」のリニューアルをはじめ、ドンキホーテ冒険の旅、アドベンチャーラグーンなどもこの会社の仕事のようです。パルケエスパーニャのアトラクションが「いまいちパッとしない」原因は、近鉄の経営姿勢だけでなく、このアトラクション設計・製作会社の力量の問題も大きいような気がします。

      

てなわけで

「闘牛コースター マタドール」のオススメ度は・・・

B級スポットとして見れば、星2つ」くらいかな?

    

     

     
     

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