ビッグバーンコースター

ビッグバーンコースターの全景

スタート駅舎は全体の中央付近(セカンドドロップとループの間)にあり、写真左が巻き上げ最高点、写真右端が折り返し点となっています。

非常にシンプルなレイアウトで、ファーストドロップ→キャメルバック(セカンドドロップ)→垂直ループ、というのが主なコンポーネントで、ループを回ったら実質ほとんど終わり。後は消化試合みたいなもので、少し登って折り返し、わずかに下ってフィニッシュとなります。

  全長   657m
  最大傾斜   75度
  最高時速   88.5km
  乗車時間   3分

    

     

巻き上げ

巻き上げとファーストドロップの配置が絶妙です登りながら、その見事なファーストドロップの姿を、さまざまな角度からたっぷりと、しかもじっくり鑑賞できるように作られています。

   
   

ファーストドロップ

何と言っても、これが名物!

   
     
大型キャメルバック

ファーストドロップの後は、そのスピードを活かして大きなキャメルバックを登り、セカンドドロップとなります。この部分も比較的大きな高低差があるのでなかなかダイナミックです。登りによって若干スピードが落ちるので、残念ながら「浮き」は少ないです。

      
   
大型キャメルバック(別の角度より)

   
            
垂直ループ

スタート駅舎に登る階段から見たところ
(写真右手前がセカンドドロップです)

     
    
    
〜〜さあ、それではいよいよ搭乗開始です〜〜

  

(なお、以下の写真は複数回の搭乗分が混在していますので、乗車位置などが一定しておりません。この点ご承知おききださい)

座席の位置は並んだ順に、自分の好きなところを自由に選択できます

    
座席は足元の前後がかなり狭く、膝は直角に折れる感じ。妙高サンシャインランドのビッグバーンコースターとほぼ同じ車両です。狭い感じはムーンサルトスクランブルとも似ています。これも同じ車両かな?

巻き上げはほんとうにゆっくり。なんだか時計が時を刻むかのように、カチカチという感じで登っていきます。登り始めのころは樹木が邪魔をして、まだファーストドロップの全貌は見えません。

     
          
そして少し登ると、すぐにこのように見事な姿のファーストドロップが目の前に現れます。

巻き上げ最高点から続く滑らかなこの曲線は、いろいろな意味で、見る者を飽きさせません。

普通だったらきっと「じれったく」思う長い巻き上げ時間も、このドロップを前にしたら、それでも足りないと感じるくらいです。

それほど、この眺めは人の心を捉えて離しません。

        
最初は斜め前方に見えていたファーストドロップのレールも、巻き上げが進むにつれて、しだいにこのように近くなり、横に見るという感じになり・・・やがて後ろへ。

     
  
さあ、いよいよ最高点に達して、巻き上げチェーンからも開放されます。右側と前方には遙か彼方まで、那須高原の樹海が広がっています。

  
  
最高点に達してからは、ぐるっと一回りしますが、この部分の距離がかなり長い!

車両全体が登り切った後、ドロップの開始まで、普通はのんびりと走行するものですが、このコースターは違います。何だかどんどん加速するではありませんか!

     
        
写真左側の遠方はエントランスの方角で、その手前に巨大な2層式カルーセルの姿も目に入ります。その間にも、車両はどんどん加速を続け、初めて乗った時などは、「おいおい、75度のドロップの前にそんなに加速していいのか!」という気持ちになります。

   
      
さらにコースは曲線を描きながら、ファーストドロップのほうへと向かって行きます。

園内全体が見渡せます。スカイバルーン、スペースショット、観覧車。左にはF2の姿も。

   
       
さあ、いよいよ先にはドロップの入り口が!!

こんな感じで「入り口」が見えるのも珍しいです。落下角度も急ですが、その直前にかなりの急カーブをしながらドロップに入るということがわかります。

   
       
さあ、いくぞ!!かなり助走で勢いをつけてからファーストドロップに突入する、それがビッグバーンコースターの秘密でした。そして一気に引きずり込まれるような感覚で「奈落の底」へ

   
      
FIRST DROP

他のコースターとは、やっぱり角度が違います!

そして、落下感の違い。サンダードルフィンやスチールドラゴンみたいに「ふわ〜〜っとした自然落下」ではなく、極めて乱暴に無理やりひきずりこまれるような、まさに強制落下というような感じ。暴力的と言ってもいい。

    
ふだん、絶叫する人でも、ここでは声にならないでしょう。低く「うぐっ・・」とか言ってそれで終わり。
    
先頭車両の座席だとこんなふう

なかなかレールが見えません

すでに車両全体としてかなり加速しているので、最全席でも、止まるような感じにはならず、それなりにスピード感のあるファーストドロップが楽しめます。

    
    
ファーストドロップのあとの、キャメルバックへの登り

   
     
セカンドドロップ
ループが見えます

   
   
    
垂直ループ

いや〜〜楽しい!!! それだけ。

おわり

      
        
epilogue

ビッグバーンコースターは1980年代後半の開業とのことで、今となってはやや古いコースターの部類に属します。その後、近年になって、フジヤマ、スチールドラゴン、サンダードルフィンと、我が国でも世界レベルのスピードと斜度を備えたコースターが誕生しました。

ビッグバーンコースターは、巻き上げ式コースターのファーストドロップとしては現在でも日本一の斜度を持つことで知られ、その「すごさ」は古くから語り継がれてきました。その「伝説の」ファーストドロップが、他の先進機種を先に経験しているこの(自分の)体で、どのように感じられるか?ということが、最も興味ある点でした。

斜度の数値は出ているものの、高さは40mに足りないようだし、最高速も80km台。斜度は日本一といったってサンダードルフィンと大差ない。機械も古いし、まあ「推してしるべし」かな?・・・実際に乗るまでは、そんな先入観を持っていました。たぶん、「数値だけは日本一だけれど、もはや過去のマシンである・・・」そんなレポートを書く自分をぼんやりと想像していたというのが正直なところです。

しかし、それはとんでもない「浅はか」な考えであったと了解するのに、さほどの時間はかかりませんでした。那須に着いてのさっそくの乗車。待ち時間ゼロで最後尾の座席に身を置き、じっくりと登りながら、まず、そのファーストドロップの印象的な姿をたっぷりと鑑賞した直後の、待ちに待った本番!

時間にすれば、ほんとうに「一瞬の出来事」でした。私は、その圧倒的な「力」の前に「ひれ伏す」しかなく、我が身の未熟さを思い知らされることとなりました。

それでもビッグバーンコースターは、勝ち誇ることもせず、ただいつものように、その往復運動を淡々と繰り返すのみでした。きっと15年前とすこしも変わらぬ様子で。

(2003年秋 記)


     

考察

一般にファーストドロップに至る前には巻き上げがあります。ただし、その移行部分は概して短く、登りからようやく平坦になったと思ったらすぐに、ほとんど徐行に近い状態からズルズルとドロップを始めるか、コースターによっては先頭がドロップに入って下を向いても、まだ後方の車両は巻き上げているので先頭車両は宙づり状態になっている、そんな様子が普通です。

ところがこのビッグバーンコースターは、最高点に達した後、ファーストドロップを始めるまでの”水平部分”が長く、しかもその水平部分がそれなりの下り傾斜を持っているため、ファーストドロップに至る前にかなり加速した状態になっている、というのが際立った特徴です。

通常でも最後尾の車両は前方にくらべ、ドロップの入りの部分での速度が速く、加速度も大きいため、強い「引き込まれ感」を感じるものですが、このコースターでは、それに加えて「助走」部分で十分に勢いをつけてからファーストドロップに突入するため、「破格の引き込まれ感」が生まれるわけです。

その感覚は、金属塊に体を縛り付けられて、もろとも落下する、とか、ものすごい力で引きずり込まれる、とかそんな表現になります。スチールドラゴンやサンダードルフィンでは、あまり車両との一体感というものは感じず、「我が身一つで飛び降りた」、と言うような落下感を感じるものなのですが、ビッグバーンコースターは違います。コースターの車両全体が落下して、それに括(くくり)り付けられた自分の全身に車両の加速度がそのまま伝わって、落下する車両の道連れにされる、そういったイメージです。シートの背中やハーネスのかかった肩から胸、それらを強引に押されたり引きずりおろされたりする感覚。以上、似たような何種類かの表現をしてみましたが、お分かりいただけたでしょうか。

巻き上げに時間がかかるのも、実際にはこのコースターのいいところ。これは来るべき歓喜・感動の瞬間を前に、まず見事なその「見た目の姿」とじっくり対面して、自分の中で心理的な高揚をさらに高める効果があります。ただ単純に「見てて飽きない」というのも真実ですが。

勝負は(始まってしまえば)一瞬、ただし、そこに至る前の淡々とした「睨み合い」で闘争心を高める・・・そう、これはまさに「相撲」の世界かもしれません。しかも、相手は「一気の突き押し、電車道」の横綱相撲。そういう意味で、非常に日本的なコースターと言えるかもしれません。

  

  

結語

「絶叫マシン・コースター好き」の人で、まだ乗っていない人があれば、ぜひ経験してください、と、お勧めします。楽しいです感動的です。もちろん、乗るなら一番後ろの方。

「あの一瞬(これは垂直落下マシンよりさらに短いかもしれませんが)」を味わうために那須へ。遠いけれど十分にその価値はあります。

   

       

     

inserted by FC2 system