リニアゲイル
    

リニアモーターを使って駆動する吊り下げ式コースターで、オフィシャルサイトによれば「世界初のつり下がり式リニアモーターコースター」とのこと。ゲイル(gale)とは、「強風」のことで、コースターの性格、内容をうまく表現したネーミングだと思います。

コースは100mの直線部分と両端にこのような垂直部分が連続している、U字型みたいな形状です。おおよそ「ループのない吊り下げ式シャトルループ」と考えればいいです。

直線部分の真ん中付近に駅舎があって、そこからリニアモーター駆動によるカタパルト式スタートをします。 U字型のコースを行ったり来たり往復するわけですが、前進でスタートし、垂直部分は、前進での登る側が3回バックで登る側(下の写真)が2回という内容となっています。

              
   
搬器は2人並びで、足ぶらぶら状態で座ってU字型ハーネスのある、という吊り下げ式コースターとしては普通の形です。

出発前に「スタートとともに急加速します」とアナウンスされますが、そんなにすごい加速ではありません。リニアモーターによるスタートですが、マッドコブラみたいな爆発的なものでなく、かなり「控えめ」です。吊り下げ式の場合、静止状態から急激に加速すると、搬器とレールの接続部に負担がかかって危険なので、あえてそうしているのかもしれません。

さあ、スタートしました

全体を通してだんだん速くなるという加速をしているようですので、最初、端まで行って、初めての垂直上昇するときは、あまりスピードも出ていなくて、登る高さも低いです。 だから最初のうちは何だか「まだるっこい」感じがします。

   
   
水平部分から垂直部分への移行は、一見すると、90度方向転換で衝撃があるかと思われるのですが、思いのほか滑らかで、ほとんどショックはありません。

垂直部分を前進して登っているところ 。真上を向いて真っ直ぐに上昇すると、視界に入るのはこんな景色。空しか見えないわけですから、あまり面白いものではありません。高いんだか、低いんだか、それすらわかりません。

登って下りて、直線部分をバックしはじめるころからじわじわと速度が増していくのが感じられます。

                
  
これはバックで走っているところかな?

直線部分は駅舎以外の場所でもこのように、上にレール、下に地面、さらに両側には枠のようになった支柱に囲まれていて、開放感が感じられません。さらに、うす暗い駅舎の中を何回も通過するため、よけい圧迫感を感じます。そんなところはある意味「都会的」と言っていいのかもしれない。

               
  
こちら↓↓はバックで登っている途中の写真です。最前部の席ですが、もうちょっとは高く登ります。後ろの席なら、もっともっと高く登ります。 だからスリルを求めるなら後部の席へ。ただし、後席の場合は高さは高いものの、目の前(下)には前の搬器(と乗客)が連なっているわけですから、こんなにスカッと地面が見下ろせるわけではありません。どちらがいいかは、お好みで。

また、加速の関係で、1回目よりは2回目のほうが高く登ります。だから後部の席で2回目のバック上昇を迎えたときは、最も迫力ある垂直上昇、落下が楽しめることになります。

搬器が水平になった状態を保ってまっすぐ上昇、降下する動きはこのリニアゲイルに特有のものですね。

   
   
*まとめ*

<いいところ>

首都圏で唯一の「(足ブラブラ型)吊り下げ式コースター」という希少価値。

吊り下げ式の搬器が水平状態を保って、垂直のコースを登り下りするという運動の希少価値。

「リニアモーター駆動の吊り下げ式コースター」、という希少価値。

往復式コースターとしては、時間が長い。

<「いまいち」のところ>

カタパルト式スタートにしては、まったくパンチ力に欠けるスタート。

「開放感がなく薄暗い感じのコースター」といった印象。しかも単調。

吊り下げ式特有の「横振れの動き」がないので、吊り下げ式の良さが十分に発揮できていないこと。

「後部席での2回目のバック上昇」以外では、今ひとつ「パッとしない」垂直部分。

       

   

外国にある機種のように、もっと高く上がって、しかもその部分で捻れ(ひねり)を加えたりするのが本来の姿なのでしょう。何か、発展途上で実用化されたみたいな形に思えます。あるいは、この敷地ではこれ以上どうにもならなかった、ということでしょうか?。でも、敷地の点での制約が極めて大きい中では、「最大限にがんばっている」、ということは言えるので、あまり責めるわけにもいきませんが。

でも、せっかくの吊り下げ式なのに、まったく横方向の揺れや、宙返り、スクリュー回転もなく、ただ往復のピストン運動に終始するという単調さは、他の普通の吊り下げ式コースターを知っている身にとっては、欲求不満をももたらす以外の何物でもない、といった感じです。変化といえば、スピードが少しづつ速くなるという点と、上昇の高さが少しづつ高くなる、という2点だけかな?「吊り下げ式コースター」というよりは、たとえば富士急の「パニックロック」などの亜型、などという見方もできるかと思います。

それなりに時間も長いし(一瞬では終わらない、ということ)、速さもそこそこ、高さもそこそこで、決して「悪い」ということはなく、それなりに楽しめるマシンなのですが、どうも全体に中途半端な感じで、「すっきりしない乗り味」になっていると感じます。

いろいろ言いましたが、それでも国内ではここにしかない機種なので、東京ドームシティを訪れたならぜひ一度乗ってみてください。

ウルトラツイスターを撤去して、代わりこれを設置したわけですが、今思うと、この場所にはルスツのタイプのウルトラツイスターが適していたような気がします。

      

   
   
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