フェスティバルゲート
デルピス・ザ・コースター

       

フェスティバルゲートは大阪市の繁華街に1997年にオープンした、1つのビルの中に、遊園地、映画館、飲食店、ショップなどを集合させた新しいコンセプトの総合アミューズメント施設でした。特に、都市のビル内にこれほどの規模の本格的コースターを含む遊園地が作られたことは画期的なことで、現在でも国内では他に類を見ないユニークかつ貴重なものです。

ただし、オープン当初は飲食施設も30以上、ショップに至っては約40店舗を数えていたという話ですが、その後激減してしまいました。実際、行ってみると、とにかく人の気配がない!そう、「このビル全体がホラー系のアトラクションか?」と疑わせるほどの雰囲気となっています。デルピス・ザ・コースターを含むアトラクションのエリアも「廃墟」を思わせるような佇まいでした。平日はもっと賑わっているのでしょうか?(いや、そんなだったら店がそこまで激減するわけないし・・・)

ちなみに遊園地系ガイドブックの定番ともいえるJTBるるぶ情報板「関西遊園地&テーマパーク」において、2001年発行のもの「'01〜'02」では、エキスポランドを差し置いてトップに掲載されていたのが、何故か2003年発行の最新刊「'03」では削除されたのか、姿を消してしまいました!

→→そう言っていたら、案の定、2004年上半期にはとうとう経営破綻が発表され、事実上の倒産と相成ったわけであります。フェスティバルゲートはもともと、大阪市交通局による「車庫跡地」の有効利用プロジェクトであり、金融機関数社との共同による第3セクタ的経営で運営されてきた施設ですが、ほんとうに「どいつもこいつも」といった感じの第3セクタ施設の末路です。

ただし、幸いなことに、すぐさま閉園ということにはならず、2004年9月には、運営主体をオリックスなどに移行しての向こう5年間の経営存続が決定され、とりあえずこのユニークなコースター(と他施設)の延命が決まりました。神戸ポートピアランドのBMR-Xなどと並んで、「いつまで楽しめるか保証の限りではない絶叫マシン」の代表格ともいえるデルピス・ザ・コースターを、ぜひ今のうちに堪能していただけたら幸いです。

     

       

デルピス(Delphis)というのはギリシャ語で「イルカ」を表し、英語のDolphinの語源となっている言葉です。だからデルピス・ザ・コースターというのは、要するに「ドルフィンコースター」ということになるわけです。

オフィシャルサイトによれば、「海底に沈んだ古代都市探検の旅」というのがコンセプトのようで、イルカに乗ってその旅に出かける、ということになるわけです。

        

デルピス・ザ・コースターの概要

ここは製作した泉陽興業(SENYO)のオフィシャルサイトから説明文を引用させていただきます。(各マシンについて制作者側がこれほど詳しく説明しているものを目にする機会は少ないので貴重です)↓↓

   

本コースターはこれまでのコースターの概念を超えた、屋内型としては日本最速のローラーコースターです。狭いビルの空間を縦横無尽に駆け抜けるこのコースターには、日本ではこれまでにはないS字曲線を無振動、無騒音で引き揚げる特殊装置を採用。限られた狭い空間でのコース設計においてはクロソイド曲線の極限を極めるなど泉陽の高度な技術が活かされたハイテクコースです。また建築物と複雑に絡み合ったコース設計では、三次元立体弾性解析を行い、常時および地震時の安全対策にも万全を期しています。

   

    

 走路全長  約700m
 高低差  約33m
 最高速度  約100km/h
 乗車時間  約2分

平面に投影した図(そのSENYOのサイトにあり)を見ると、コース面積は96m×125mと非常にコンパクトであることがわかります。ちなみに横浜コスモワールドの「ダイビングコースター・バニッシュ」も同じSENYOの製作で、これも投影面積はほぼ同じくらいになっています。

    

                   
乗り場にて

駅舎じゃありません、あくまで「乗り場」です。何しろビルの中ですから。

2003年6月29日。日曜の午後です。ほとんど乗りに来る人がいないので、このようにして人が来るのを待っています(写真は乗客ゼロの状態)。大勢乗る可能性がないので、後ろの方はハーネスもおろしたままです。

そして時々客が来ても一度に数人なので、これを一番前にだけ乗せています。このため、こんなにガラガラに空いているにもかかわらず、何度乗っても一番前の車両にしか乗れませんでした!

スタッフの人も、こんな状況が続いているのでモチベーションを失っているのでしょうか、終始仏頂面で、気だるそうに仕事をしていました(でも、それも仕方ないといえば仕方ないような状況ではあります)。

   
                 
巻き上げ

そもそもスタートが5階で、そこから「8階+α」の高さまで登るだけなので、巻き上げ距離(高低差)は、あまり大きくないのが特徴です。 

   
   

最高点まで達すると、しばらくの間、かなりゆっくりと右旋回します。ここでのんびり大阪の街が一望できるので、「巻き上げ最高点」もコース内における大切なパートと言えます。すぐ近くには大阪のシンボルともいわれる通天閣も見えます。でも、ここよりずっと高い通天閣の展望台に登ればもっといい眺めでしょうから、それほど大きな意味はないかもしれません。

   
                     

FIRST DROP

定番中の定番ともいえるワンショットですね。

最大傾斜は50度とのこと。見るとすごく急な感じがしますが、乗ってみるとそれほどではありません。でも、ビルに囲まれた空間をドロップする感覚には独特のものがあります。いいです!。(それ以上うまく言葉では表現できませんが)。

それと、眺めて楽しいコースターです。特にこれだけのファーストドロップをこんなに間近の「特等席」でじっくり眺めていられるコースターというのも珍しいのではないでしょうか。

      
           

一番前の車両にしか乗せてもらえなかったので、どうしても「重い感じ」のドロップとなってしまいます。体が「がっちりハーネス」で固定されているので、余計、快感がスポイルされている印象です。きっと最後尾だったらずいぶんと良いのでは?

    

ライドは横浜コスモワールドのバニッシュと同じもののようなので、ハーネスがきついところなどをみると、やっぱり「兄弟」なんだな、などと思ったりします。

  
  

ファーストドロップに続いて、駆け上がって、左旋回して

  
  
(一応)セカンドドロップ

180度方向転換して、セカンドドロップとなります。これは斜度としては軽めです。そしてファーストドロップの上を交差するように進み

   
   

セカンドドロップ自体はあまり落ちませんが、このようにビルすれすれに進んだあと、左に急カーブして、ビルの中に突入します。これは、スピード感もあり、狭い隙間に突っ込んでいく感じで、とてもスリリングです。ここでしか味わえない快感!

   
   
ビル内へ突入

矢印が突入口です。こんなに狭いところに突っ込んでいくのですよ。(ここからしばらくビル内のトンネルを左旋回をしながら突っ走ります)

   
   
     
   

その中は・・・

真っ暗で狭いトンネルになっており、すばらしいスピード感が味わえます。

トンネルというか、狭いチューブ状になっていて、真っ暗闇に放射状にカラフルな光(イルミネーション)がチカチカするという演出の中を通り抜けます。

急カーブしているので、余計迫力を感じます。これはいいです!ちょっと感動的です!もちろん時間的には短いですが、病みつきになるような魅力あり。

    

         

トンネルを通過し終えると、屋外に出ます。そうすると、もうスピードはだいぶ落ちてしまっていて、くねくねと、そして少しのドロップを伴ってそのビルの上と外周を廻る残りのコースを消化します。ビルの外側に出るところだけは、他のコースターでは経験できない「環境」なので、ちょっと新鮮で面白いです。

トンネルの中までが刺激的だっただけに、一層、後半の「刺激のなさ」が際だってしまう、というのが皮肉なところです。

     
   

FINISH

トンネルの余韻に浸っているうちに何となく終了してしまう、そんな印象です。(出口は、プラットフォーム前方の階段を上って、入り口より1つ上の6階に出るようになっています。)

  
  
          
まとめ

巻き上げ最高点での眺望ななかなか良いです。ただし、8階建てビルの屋上と言ってしまえばそれまでですが・・・。

ビルの中庭に落ちていくファーストドロップと、ビルの壁中に突入していく部分は、ここでしか味わえない非常に個性的なもので、大いなる価値あり。

急旋回しながら「チカチカ」のトンネル内を激走する部分は、なかなかインパクトがあってかなり刺激的。このコースターの最大の魅力ではないでしょうか。

残り半分は消化試合みたいですが、これはまあ、仕方ないかな。何しろ、ビルの内外にからませて作った本格的コースター、というだけで偉大な存在なのだから。そうやって説明していると、妙にサンダードルフィンと類似しているのに気が付く。名前も似ているし・・・。

同じ泉陽興業の作品とのことで、いろいろな面で、横浜コスモワールドのバニッシュに似ているとも言えます。全体的なコンセプト・デザインなどの点や、トンネル部分の滑走感ではこちらが上(バニッシュの突入部分のトンネル内部はちょっと味気ない)。純粋にコースターとしてみた全行程のバランス、完成度といった点ではバニッシュのほうが上(最後にハードな水平ループで攻められたりすします)。結局、総合評価では引き分け、といったところでしょうか。そう、それから車両も同じようで

すごく個性的なんだけれど、以上のように見てくると、何だかいろいろな機種に似ているとも言える・・・不思議なコースターですね。私は個人的には、コレ、けっこう好きです。

     

初めにも書きましたが、とりあえず2008年9月までの延命は決まったようですが、その後のことは保証の限りではありません。だから、乗ってみたいという方は「お早めに!!」

   
            
(番外)
メビウスループ

これは台形の箱みたいなのが「車両」で、これに乗り込むと、ベルト状になった輪の内側をグルグルと回って走行していきます。

ところが、この「輪」自体が両端の支点を中心にグルグル回転するので、複雑な動きを生ずることとなります。

見ていると、何だか、むちゃくちゃに振り回されているようで、非常に激しい動きに見えました。何だか拷問でもやっているようで、見ているだけで恐ろしくなってしまい、さすがの私も敬遠。

実際どうかわかりませんが、もしかすると、ある意味これはすごい絶叫マシンなのかもしれません。(たぶん、乗ってもあまり面白くはないでしょうが・・・)

            

    

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