ヴィーナス

     

スペースワールドを代表する2大コースターの一つで、かつてシャトルループを世に送り出した、ドイツのアントン・シュワルツコフ氏コースターの神様などと言われているそうです)が設計したという、まさに折り紙付きともいえるコースターです。誕生が1996年といいますから、これはシュワルツコフの亡くなる5年前(72才の時)で、おそらく彼の生涯最後のコースター、すなわち「遺作」だったと思われます(他社との共同製作ですが)。

基本的には垂直ループコースターなのですが、日本にある垂直ループコースターの多くが、「ループを回ったら、ハイ終わり」的なものが多い中、このヴィーナスは、ループはまだまだ序盤戦で、どちらかというと、これをぬけた後にたっぷりとお楽しみが待っている、といった感じの、非常に中身の濃い優れたコースターといえます。

写真で判るように、設置スペースはかなり狭いのですが、これでもコース全長は1000m強もあり、この空間を最大限に活用した密度の高いレイアウトにより、充実した滑走感を実現しています。

コースレイアウトとしては、急旋回しながらのドロップ---いわゆる「シュワルツコフカーブ」---に加え、垂直ループ、8の字ループ、そしてこれに水平ループ2つ、というのが基本構造で、これはよく見るとシュワルツコフの初期の作品であるルーピングスターを発展させたものであることがわかります。

また、ここでは、スペースワールドのシンボルともいえるスペースシャトルディスカバリー号に絡みつくようにレイアウトされているため、その姿はとても個性的かつ印象的で、一度見たら忘れられないコースターだと言えるでしょう。


コースの概要

     
巻き上げ

スペースシャトルディスカバリー号は全長約37mなので、ヴィーナスの巻き上げ最高点は40m前後ではないかと思われます。この程度のコンパクトなコースターとしてはかなり高いと言えます。

  
最高点に達したら、シャトルの腹側をファーストドロップで下り、一度登って、急峻な左旋回をしながらセカンドドロップ垂直ループとなります。

ファーストドロップは巻き上げ高の全部は落ちきらないので、いささか控えめですが、これに対してセカンドドロップのほうは、落差、斜度とも十分にあり、しかもひねりながらのドロップ(シュワルツコフカーブ)となるので、非常にダイナミックで魅力的です。また、このセカンドドロップの最後がそのままループに移行しているような形になっているところにも注目!

   
   
裏側から見たファーストドロップ

園外に出て(駅側)シャトルの腹側から見るとこんな感じ。ファーストドロップで位置エネルギーを使い切らないところはサーフコースターと似ていますね。

   
    

垂直ループ以降の中〜後半部分の流れ

垂直ループを抜けると、右回りのブーメランターンを経て、敷地の外周をなぞりながらスタート駅舎の上を回って8の字ループ、そしてこれに重なるような右回りの登り水平ループさらに、ブーメランターンの下方の左回りの水平ループと続き、これにてスタート地点に戻る、というレイアウトです。

  
  
それでは、乗り撮りを交えつつ、順に紹介します♪
        

FIRST DROP

最高点からファーストドロップへ。ここは落差は小さく「まずは小手調べ」といったところでしょうか。

      
             
   
SECOND DROP

急カーブしてひねりながらのセカンドドロップ。スペースシャトルと一体感のある、ここならではのショットですね。

    
           
上と同じ位置でのセカンドドロップの乗り撮り。ここは落差と斜度もかなり大きいので、なかなか楽しいです。これにてループに突入です。

   
   
垂直ループ

ループの直径は23mで、日本最大級とのことです

  
  
確かにデカいかな?。

ループの入りの部分がセカンドドロップ下部のループ状軌道とオーバーラップしているのと、アウトの部分もブーメランターンに向かって登っているため、「1と4分の1回転」くらいしている勘定になります。こういったループも珍しく、「シュワルツコフの技」と言いたいです。

   
   

ループ径の大きさのせいでしょうか、開放感があって明るい感じの垂直ループです。じっくり味わいましょう。

         
     
      
垂直ループ、ブーメランターンのあと、大きく下ったかと思うとすぐさま登りに転じるわけですが、この底の部分は地面が掘られた、(ピレネーで言うところの)ピット(pit)になっています。

わずかですが、地下にもぐるわけですね。心憎い演出!さすがです。

   
     

上のピットの後、急上昇から左急旋回しつつ、さらにドロップして駅舎の上に滑り込みます。このあたりの動きは、なかなかダイナミックです。(写真左の白い建物はスペースキャンプの一部のスペースロッジという宿泊施設です)

   
   
         
続いて、スタート駅舎の上を左旋回しながらドロップして

          
次に8の字ループを描き、さらにその後に水平ループが右回りと左回りのダブルでやってくるというのだから念が入っています。
                  
連続水平ループ

まずは右回りの登り水平ループ。何てったって、登りですよ、登り! こんなところも、またまた「憎い!」と言いたくなっちゃいますね。

   
   

地面すれすれで、90度に近い傾斜になるので、なかなか迫力があります。Fujiyamaのゼロカントカーブに似ています。

                  
   
右回りの水平ループは、約1周半回って、だいぶ登ります。

   

下方に見える赤矢印()は、先にも触れましたが、ブーメランターンのドロップ後の「ピット」の部分を示します。

      
          
右回りが終わると、お次は左回りの水平ループ(こちらは普通に下り)と続きます。これもかなり地面すれすれです。

    
     
左回りの水平ループを抜けると、少し登って駅舎に向かい、フィニッシュとなります。

  
  
ごくろう様でした〜

〜〜おわり〜〜

  
    
         
まとめ

コンパクトな垂直ループコースターですが、垂直ループ以外のコースレイアウトが変化に富んでいて、十分に楽しめ、満足度は高いです。レイアウトの点から見ると、ルーピングスターの進化形だったことがうかがえます。

ルーピングスター以外で例えたら、横浜八景島のサーフコースーに垂直ループを加えてコンパクトにした感じ、と言ったらわかりやすいか。色も似ているしね。(ただし乗ったフィーリングはあまり似ていませんが)

周囲のプラス要素もサーフコースターの「海上」と、ここの「スペースシャトル」でいい勝負。こっちは垂直ループとその前の大きなドロップが魅力。一方、サーフコースターのほうは、スケールが大きく伸び伸びした走行感が魅力。ということで、この2つは甲乙付け難いかな〜。

このサイズ、タイプのコースターとしては浜名湖パルパルの四次元と双璧をなす、国内屈指のコースターと思われます。それにしてもシュワルツコフ様は偉かった!

       

      

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