ここは、かつて日本の近代重工業発展の基礎を担った八幡製鉄所のあったところで、その跡地に1990年に作られたそうです。
宇宙をテーマとしたテーマパークで、これは国内では他に類をみないものです。実際の設計図をもとに忠実に再現されたというスペースシャトル・ディスカバリーの模型(すなわち実物大)が設置され、これを用いて打ち上げプロセスを再現した「カウントダウンショー」(ただ煙が出るだけ、という話ですが)が毎週末などに催されたり、スペースキャンプといってNASAの宇宙飛行士訓練プログラムと同様のトレーニングを泊まりがけで体験できる施設があり、話題となりました。
しかし誕生とともにバブル崩壊を迎え、さらに当時、日本でも一つのブームにもなったスペースシャトル計画も、90年代にはアメリカの経済事情と平行して縮小の一途をたどりました。そして同じ頃から現在まで、我が国のロケット打ち上げは、度重なる失敗に見舞われ、宇宙開発への上昇ムードというのしぼんでしまったと言わざるを得ません。アメリカにおいても最近では「アポロの月着陸」の真偽が取りざたされたり、また現在ではテロの脅威などの問題もあって「宇宙どころではない」状態になりつつあり、いずれにしてもかつてのような「宇宙への夢」が果てしなく膨らんだ時代とは大分異なった時代背景となってきています。
さらに追い打ちをかけるようにここスペースワールドにおいて、1998年8月にはアトラスタワー(いわゆるスペースショット)の搬器をつるしているワイヤーが切れて落下し、乗客12人が重軽傷を負うという事故が起こって、その後、アトラスタワーは営業停止(現在もその残骸がのこっていますが)に追い込まれ、さらにはフリーフォールがあったのも、その頃以降になくなってしまいました。(これは観覧車に置き変わったようですが)
このような流れから、現在では、そもそも売り物であった宇宙関係の施設は大きなリニューアルなく、古びた感じで「未来の夢」を感じさせるようなものではなくなり、実際、子供達の関心は大きいとはいえません。たとえばスペースキャンプの施設は見学もできますが、トイレを利用する以外には訪れる人もあまりいないようです。乗り物関係もスペースショットとフリーフォールが消えて、そのほかは何となく昔のまま、となると、今となっては、ちょっとさえない印象は否めません。スペースショットの残骸がいまだにパーク中央部に鎮座しているところなどは、何か象徴的あるいは暗示的といえるでしょう。
タイタンの座席横内側の部分など、見るとどれもビニールシートみたいなものが切れて破損しており、これを黒いビニールテープでベタベタ貼り付けて「補修」してある。そんな様子を見ると、未来・宇宙・科学など、このパークが本来志向しているはずのイメージとは、およそかけ離れた実体が浮かび上がってくるようで、ちょっと悲しいものを感じてしまいます。宇宙と乗り物の関連付けにしても、ネーミングとちょっとした外装での安っぽい表現にとどまっていて、「本物」とはほど遠いものばかりです。
こういった流れを打開して集客するために作られたのでしょうか、オリジナルキャラクターというものもあって、これはこれでけっこう良く出来ているのですが、これもやはり施設全体との関連性が希薄で、しかもミュージカルショーと土産物ぐらいにしか登場しないようなので、どうも「取って付けたような」印象がぬぐえません。尚、近年では小さな子供用のアトラクションがいくつか追加になりました。